ぶらりらいぶらり:長崎大学図書館ブログ

長崎大学附属図書館からお届けするブログです。 ぶらり、ぶらりと図書館へどうぞ。

フクロウ館長イチ推しの本

【連載第32回】フクロウ館長イチ推しの本

『先生、どうか皆の前でほめないで下さい : いい子症候群の若者たち』 金間大介著(東洋経済新報社, 2022.3) 「先生、どうか皆の前でほめないでください」 「成功した人も、しない人も平等にしてください」 「自分の提案が採用されるのが怖いです」 「浮い…

【連載第31回】フクロウ館長イチ推しの本

『夜のピクニック』 恩田陸著(新潮文庫, 2006.9) 気持ちのよい季節となった。外を歩くと気持ちいい。今日紹介する本は、恩田陸の『夜のピクニック』。高校生の強歩大会を描いた青春小説だ。この本を読むと、16歳の僕自身の体験が蘇る。 高校1年生の僕達は…

【連載第30回】フクロウ館長イチ推しの本

『運動脳』 アンデシュ・ハンセン著, 御舩由美子訳(サンマーク出版, 2022.9) 運動は、はたして健康に良いのか? という疑問を持ちながら僕は、運動をしている。もし、運動が体にいいならば、スポーツ選手は長生きするんじゃないか? 現実にはそんなことは…

【連載第29回】フクロウ館長イチ推しの本

『複雑化の教育論』 内田樹著(東洋館出版社, 2022.1) こんなこと書いたら、お上から怒られると思うが、「教育カリキュラム」とか「教育プログラム」とか「教育シラバス」とか「教育マニュアル」の作成に時間をかけるのは、無駄だと思う。 僕は、教育学部の…

【連載第28回】フクロウ館長イチ推しの本

『ケンブリッジ大学・人気哲学者の「不死」の講義』 スティーヴン・ケイヴ著 ; 柴田裕之訳(日経BP, 2021.12) 「総理からのお祝い状だ!」 居間の鴨居に飾られてあるのは、昨年9月の老人の日に贈られたであろう100歳高齢者へのお祝い状。興奮気味の僕に対し…

【連載第27回】フクロウ館長イチ推しの本

『世界の中心で、愛をさけぶ』片山恭一著 (小学館, 2001.4) 14歳の僕にとって、防波堤の突端にある小さな灯台が世界の中心だった。 右手には静かな波を受ける大きなクレーンが並ぶ、左手にはフェリーの波止場。後ろには、遠洋漁業の船がずらりと並んでいた…

【連載第26回】フクロウ館長イチ推しの本

『永遠の1/2』佐藤正午著(小学館文庫, 2016.10) ふたつの佐世保がある。 ひとつは、昭和一桁生まれの私の父が語る、戦前戦後の佐世保のイメージ。炭坑と軍港があり、朝鮮や中国へと頻繁に行き来する人々。戦争が終わり、闇市ができ、混乱の中、米軍基地で…

【連載第25回】フクロウ館長イチ推しの本

『八月の母』早見和真著 (KADOKAWA, 2022.4) 恐る恐る畳の上に、右足を置く。次に、左足の置き場を探す。ペットボトル、空き缶、テッシュ箱、Tシャツ、靴下、下着…。黒い鞄、赤いショルダーバック、段ボールに、脚立。左足をわずかな隙間に置いて、声を出…

【連載第24回】フクロウ館長イチ推しの本

『成りあがり : 矢沢永吉激論集 : how to be big』 矢沢永吉著 (新装版 角川文庫, 2004.4) 夏が終わり、本格的に受験のシーズンがやってきた。 遊びすぎた夏を反省し、中三の秋、僕は教会と近くにあった友達の家に行って勉強していた。だが、1時間勉強した…

【連載第23回】フクロウ館長イチ推しの本

『メタバース進化論 : 仮想現実の荒野に芽吹く「解放」と「創造」の新世界』 バーチャル美少女ねむ著 (技術評論社, 2022.4) 生まれ変わるなら、身長が180cmくらいで木村拓哉みたいなカッコいい男になって…、否、どうせ生まれ変わるなら、吉田沙保里みたい…

【連載第22回】フクロウ館長イチ推しの本

『ダンプリングの歴史』 バーバラ・ギャラニ著 ; 池本尚美訳 (原書房, 2019.8) 餃子(ギョーザ)が好きな僕。子どもの頃は兄弟3人正座して、父が作る小麦粉の皮を伸ばし、母が作った具を詰め込みました。 「これ何の形?」 「怪獣のガメラ!」 「違うよ、仮…

【連載第21回】フクロウ館長イチ推しの本

『本物の「上司力」 : 「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』 前川孝雄著 (大和出版, 2020.10) 忘れられない上司がいる。ひとりは「男の中の男」と呼ばれた人で、熱血指導で、いつもプンプンしてまくしたてる人だった。もうひとりは「ホトケ(仏)の…

【連載第20回】フクロウ館長イチ推しの本

『ふたりはともだち』 アーノルド・ローベル著, 三木卓訳 (文化出版局, 1972.11) 僕は13歳の時、小さな島から長崎港の見える坂の上の一軒家に引っ越した。路地を挟んだ隣の家に、同じ年の男の子がいた。 僕達は朝から待ち合わせて登校し、放課後も一緒にサッ…

【連載第19回】フクロウ館長イチ推しの本

『自転しながら公転する』 山本文緒著 (新潮社, 2020.9) 僕には、絶対に読まない本がある。お姫様、王子様、巫女、天使、悪魔…などが出てくる本。お転婆でドジな女の子が主人公で、いろいろドタバタして、いじわるなライバルが現れて、親切な友達が助けて…

【連載第18回】フクロウ館長イチ推しの本

『原因と結果36の法則 : 心のおもむくままに』 ジェームズ・アレン著 ; 菅靖彦訳 (河出書房新社, 2012.12) 新緑の季節、気分も新たに何か新しいことに挑戦したいと、僕は毎年この頃に何かを始めます。 20代の頃は大分市に住んでいたので、別府の温泉巡り同好…

【連載第17回】フクロウ館長イチ推しの本

『空気を読む脳』中野信子著(講談社, 2020.2) 日本人は他人に厳しい民族。それは、脳内のセロトニントランスポーターというたんぱく質の密度が低いからだそうだ。「社会性のルールに従わないものには、ペナルティーを負うべきだ」と思い、制裁を与える。だ…

【連載第16回】フクロウ館長イチ推しの本

『80パターンで英語が止まらない! : ネイティブなら12歳までに覚える』 塚本亮著 (高橋書店, 2021.4) 英語は苦手だ。高校、大学、大学院とそれなりに勉強して、TOFEL試験も受けてカナダに留学した。でも、まったく話せなかった。留学の初日、マクドナルド…

【連載第15回】フクロウ館長イチ推しの本

『三木清人生論ノート : 孤独は知性である』 岸見一郎著 (NHK出版, 2021.4) 自分の居場所は、「ここではないんじゃないか?」 小学校入学式の日、教室でそう思ったことを覚えている。周りの新1年生達は、大声を出しはしゃいでいたが、僕は島から引っ越して…

【連載第14回】フクロウ館長イチ推しの本

『医者が教える食事術 最強の教科書』 牧田善二著(ダイヤモンド社, 2017.9) 毎年目標をたてる。ずばり「ダイエット」。僕にとっては四半世紀変わらぬ目標です。特にここ数年は、正月太りを夏の健診までに3~4㌔落とし、20歳の時の体重へ戻すことを目指して…

【連載第13回】フクロウ館長イチ推しの本

『とにもかくにもごはん』 小野寺史宜著(講談社, 2021.8) 「食べることに困ったことはなかった。それだけは、親に感謝している」と、ふと彼はそう言った。母親の葬式の後である。彼はスーパーで働き、母親が癌になり、最後は僕の勤めていた病院で亡くなっ…

【連載第12回】フクロウ館長イチ推しの本

『新型コロナワクチン 本当の「真実」』 宮坂昌之著 (講談社, 2021.8) 大規模ワクチン接種会場のブースの中に、その男の人は入ってきた。医師の僕は、「体調はいかがですか?」等の型通りの質問を終わらせて、問診表にチェックし、「注射を打つブースへど…

【連載第11回】フクロウ館長イチ推しの本

『言語化力 : 言葉にできれば人生は変わる』 三浦崇宏著 (SBクリエイティブ, 2020.1) 思いを言葉にできる人は、強い。僕の小学校の同級生は「日本一になる」と言って、サッカーで全国優勝をした。中学の同級生は「社長になる」と宣言し、会社を興した。高…

フクロウ館長、爆誕。

ある日のこと、医師・副学長・医療教育開発センター長・附属図書館長・文筆家等々の5~6足の草鞋を履く、超多忙な浜田館長は悩んでいました。「学生のための大学図書館」を実現するために、特に広報面で僕のサポートをしてくれる人はいないかなぁ? それを聞…

【連載第10回】フクロウ館長イチ推しの本 

『アースダイバー 神社編』 中沢新一著 (講談社, 2021.4) 「日本人の先祖は、どこから来て、どうやって日本人になったのだろう?」 最近の研究では、1万5千年くらい前に、もともと住んでいた縄文人と外から来た弥生人が一緒になって日本人の源になったよう…

【連載第9回】フクロウ館長イチ推しの本

『本心』 平野啓一郎著 (文藝春秋, 2021.5) この世界は、実は偽物で、明日目覚めると本当の世界が始まる…、と僕は子供のころよくそんなことを考えていた。サッカーボール蹴って学校の窓ガラスを割ったり、漢字テストが散々だったり、好きな女の子と別のク…

【連載第8回】フクロウ館長イチ推しの本

『スマホ脳』 アンデシュ・ハンセン著 ; 久山葉子訳(新潮社, 2020.11) クリスマスの夜は、すき焼き。研修医となった僕は、妻が作ってくれたすき焼きに、卵を落とし、箸をつけようとした。その瞬間に、ピーピーとけたたましい音が鳴った。 ポケットベルの小…

【連載第7回】フクロウ館長イチ推しの本

『闇を泳ぐ : 全盲スイマー、自分を超えて世界に挑む。』 木村敬一著 (ミライカナイ, 2021.8) 金髪のバティー教授は、「彼は「チャレンジ・パーソン」よ」と、僕に紹介した。僕は、意味が分からず「彼は、何にチャレンジしているのか?」と、聞くと、一瞬…

【連載第6回】フクロウ館長イチ推しの本

『北岳山小屋物語』 (樋口明雄著 山と渓谷社 2020年) 僕のはじめてのアルバイトは、キャンプ場の番人。県民の森キャンプ場にひと夏、4人の大学生が山小屋に泊り込み、子供会や家族や会社のキャンプの世話をした。たいした仕事はなかった。子供たちと沢登し…

【連載第5回】フクロウ館長イチ推しの本

『街場の文体論』 (内田樹著 ミシマ社 2012.7) 学生は、思う。どういうふうに書いたら、この先生は点をくれるか。「たぶん、これが、合格最低点をクリアしたレポートです、どうか単位をください」と、願いながら書く。読み手に対する敬意のない文章だが、…

【連載第4回】フクロウ館長イチ推しの本

『人生を走る : ウルトラトレイル女王の哲学』 (リジー・ホーカー著, 藤村奈緒美訳 草思社 2021.3) スタートラインに立つ。走る。続ける。そして、ゴールでやめる。勉強も仕事も同じ。始まり、終わりまでやり遂げる。人生も。産まれて、死ぬまで自分の人生…