ぶらりらいぶらり:長崎大学図書館ブログ

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【連載第16回】フクロウ館長イチ推しの本

『80パターンで英語が止まらない! : ネイティブなら12歳までに覚える』

塚本亮著 (高橋書店, 2021.4)

英語は苦手だ。高校、大学、大学院とそれなりに勉強して、TOFEL試験も受けてカナダに留学した。でも、まったく話せなかった。留学の初日、マクドナルドでオーダーすると、金髪の女の子の店員が「は~?」と両手を広げ、店長を呼びに行った。僕の英語は通じない。情けなくなり店を出た。

 

この話は僕のネタにしているのだが、英語にまつわる失敗談はまだいくつもある。

最大の屈辱的なネタは、2年間の留学の終わりに来た。留学の2年間は、人生の中で最も勉強した。朝から病院で、むこうの医学生や研修医と病院実習をした。昼からは大学院で医学教育を学び、夜は英会話教室へ行った。寝る間を惜しんで勉強した、と自分自身に自慢して、英語もそこそこできると自信がついてきた。

 

留学の最後の思い出にと、家族と共に、カナダからアメリカへ車でドライブをした。数年前に教えた研修医が、ミシガンに留学したので会いに行った。ふたりの教え子に会い、ピザを食べ、ジャズを聴き、湖の見えるホテルに泊まり、気分は最高で、鼻歌を歌いながらカナダへと戻ろうとしていた。

 

カナダへの入国ゲートは、カナダ人なら車からパスポートを出してチェックされるだけだが、僕らは外国人だから何か聞かれるだろうとは思っていた。案の定、映画にでてくるようなスキンヘッドの腕が丸太のような入国審査官が、ボックスから身を乗り出して、僕のパスポートを見て何か早口でまくしたてた。まったくわからなかったが、練習していたセリフを棒読みした。

 

アメリカのミシガンに観光に行った。マリオットホテルに泊まった。煙草やお酒は買ってない。カナダはトロント大学の大学院生だ」

 

スキンヘッドは、「おまえ、何を言っているんだ?」という顔をして、アジア人の乗った車の中をなめるように見渡した。僕が何か言うと、お前は黙ってろと手で制しこう言った。

「Who can speak English?」                

すると、後部座席に座っていた8歳の僕の子供が手を上げて、スキンヘッドと何か話はじめた。早口でよくわからなかったが、最後にスキンヘッドが娘に、

「ボーイフレンドはいるのか?」

とニヤリとして言うと、8歳の娘がキャッキャッと声をあげた。その後スキンヘッドはもう行けと、僕を見ずに手で合図した。僕はゆっくりとアクセルを踏んだ。妻と二人の娘は過ぎ去ったハプニングを楽しそうに振り返っていたが、僕は怒りと情けなさと悔しさで、泣きそうであった。

「俺の今までの英語の勉強はなんだったのか???」

 

英語は勉強した方がいい、誰もがそう言う。当然だ。インターネットで使用されている言語は、英語26%、中国語20%、スペイン語7.9%……、日本語は8位、わずか2.6%。英語か中国語かスペイン語を学んだ方がいい。中国語やスペイン語はハードルが高いから、やっぱり英語となる。

 

どうやって勉強するのか?

本や新聞を読む、英会話のラジオを聞く、ネイティブスピーカーの話す教材を聞き流す、人が勧める勉強方法にいろいろ手を出した。最近はアプリやYouTubeで勉強することもできる。しかし、どれも続かないし、効果を実感しない。

 

結局のところ、目標がないと続かないと思う。英会話という点では挫折に終わった留学の後、僕には明確な目標がないから、ダメなのだろう。しかし、凝りもせずにまた本を買った。

 

本書は6歳、8歳、12歳でネイティブが話すフレーズを段階的にまとめている。非常に使いやすい。

 

<第1章01。許可を取るパターン。 Can I ~ ?(~してもいいですか?)>

 

確かにむこうの子供が言っていた。Can I have this? これもらっていいですか? こういうフレーズは日本人にはわかりにくい。これを持っていいですか?と訳す日本人が多いと思う。確かにこの80パターン覚えて何度も練習すれば、会話がある程度成り立つと思う。がんばってやってみるか…と、今のことろ思っている。

 

英語は勉強したほうがいいと、やっぱり僕も思う。ただ、英語は単なる道具であるので、「英語を勉強するため」に英語を勉強するのではなく、「外国人とオンラインゲームをするため」に英語を勉強する、「英語のツイッターを始めるため」に英語を勉強する、「料理の英語動画をあげるため」に勉強する、など具体的な目的を持った方がいいと思う。そういう僕は、さて、何を目的とするか…、そう考えながらこの本のページをめくっている。ホッホッホホ~。また、次回。

 

 

▼所蔵情報

opac.lb.nagasaki-u.ac.jp

 

【黒にゃんこ司書のつぶやき】

こんにゃちは!黒にゃんこ司書です。英語の学習法、みなさんどうしていますか? 図書館のカウンターでたまに留学生の方とお話しすることがありますが、こちらの拙い英語でもコミュニケーションをとり何とか案内ができた時、伝わった~とうれしい気持ちとともに英語ヤバイ、どうにかしなくては・・・という焦りも感じます。最近はスマホの翻訳アプリに頼りだして、不勉強さに拍車がかかってきているのですが。それじゃまたにゃ~♪