ぶらりらいぶらり:長崎大学図書館ブログ

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【連載第30回】フクロウ館長イチ推しの本

『運動脳』

アンデシュ・ハンセン著, 御舩由美子訳(サンマーク出版, 2022.9)

 

運動は、はたして健康に良いのか? という疑問を持ちながら僕は、運動をしている。もし、運動が体にいいならば、スポーツ選手は長生きするんじゃないか? 現実にはそんなことはない。でも、運動の後は気持ちいい。

 

僕は小学校のころから、激しい運動をしていた。

小さな町のサッカー少年団は、練習前に島の半周を走っていた。小学校から直線道路を走り、海を見渡しながら坂を上り、坂を下り、トンネルをくぐり、また小学校に帰ってくる。それから、1~2時間ボールを使った練習をするのだが、今思うととんでもない昭和的な練習だった。しかし、その小さな町のサッカー少年団は、県で何度か優勝し、後にあの小嶺監督にスカウトされた同級生は数名いたし、Jリーガーになった後輩が、僕が知っているだけで3人もいる。

 

そういう経験をすると、運動は病みつきになる。

中学・高校でも運動し、医者になってからも僕はいろんな運動をした。だいたいは、体を痛めつけて快感を覚えるような運動で、結果的に膝を壊した。自業自得といえばそれまでだが(笑)。だから、運動はやりすぎると体によくないことは確かだ。

 

この本は、スウェーデン精神科医が書いた本だ。

ベストセラーの『スマホ脳』を書いた著者だ。だから、面白く読めるのは確実であろうと思い読んでみた。確かに面白い。スウェーデンでは歴史的ベストセラーらしい。以下抜粋してみる。

 

原始時代の人は、我々よりはるかに体を動かしていた。だから、体を動かす人の方が、脳は活性化される、つまり、頭の回転がよくなる。

 

ランニング(ウォーキング)の20~30分で効果がある。週に3回でOK。

 

大人でも、年齢に関係なく、ランニングにより脳は変えられる! 脳を変えるシステムは、GABA~ (注:省略するが、ここらあたりは、医療系の人には、ふんふんと頷ける)

 

運動はストレスを軽減し、うつ病などの病気に効く。薬よりも効果がある!

(ここらあたりも面白い、何で運動がこんなにいいのに、医師は薬を使うのか、、、)

 

運動以上に記憶力を高められるものはない。

 

記憶力を高めたいなら運動を、ランニングを。脳トレでは高められない。

 

意識して歩くと認知症の発症が40%減る。

 

運動によりアイデアが降って来る。スティーブ・ジョブスなどは、ウォーキングミーティングをしていた。運動により、創造力は増す。

 

(以上青字部分が本文からの引用)

 

まあ、とにかく、運動はいい!を連発している本だ。運動好きの僕にも、なんとなく、そうだ、そうだと思わせてくれる。

 

また、最近は患者さんに「運動はいいですよ~。『運動脳』という本を読んでください!」と自信を持って言えるようになった点は大きい。

 

振り返ると、僕は運動(スポーツ)を通して、友達や知り合いが出来、それが一番よかったのかもしれない。「一緒に汗を流す」という言葉にあるように、そこにはある種の高揚感を脳で共有し、互いの幸福度を増す力があるのだろう。

 

しかし、運動もやりすぎには注意が必要だ(苦笑)。

現在、膝の手術後のリハビリを毎日続けている。まさに、運動であるのだが。リハビリの先生も本書を読んでいるみたいだった。医療系の方、運動好きの方、運動をはじめようという方には、非常にいい本だった。ホッホッホ~、さあ、今日も体を動かしましょう!

 

 

▼所蔵情報

opac.lb.nagasaki-u.ac.jp

 

 

これまでの書評はこちらから読むことができます。

booklog.jp

 

【黒にゃんこ司書のつぶやき】

こんにゃちは。黒にゃんこ司書です。新緑の季節、運動するにはいい気候になってきましたね。私は日中図書館に閉じこもって事務作業をしているので、昼休みにはキャンパス内を散歩するのが日課なのですが、今の時期は中央図書館前から生協周辺まで、サークルの立て看板がずらりと並ぶ風景が楽しいです。各サークルの個性と新入生獲得の意気込みが感じられます。ちょうど今週末新歓祭をやるみたいですので、新入生のみなさんは気になったサークルに顔を出してみると、楽しい出会いが待っているかも! それではまたにゃ~♪