『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること』
安達裕哉著(日本実業出版社, 2023.11)
「私は、仕事ができる」と、ひそかに思っている人は、たぶん多い。
そういうささやかなプライドがないと仕事は続かない。小さな歯車であっても、「できる人」がいないと世の中は回らない。しかし、その仕事が「評価」され、世間的な「出世」を得て、世の中に貢献できる「仕事ができる人」は、少ない。
例えば、僕は医療業界で働いているのだが、「患者さんに評判が良い」医療者が臨床家としては認められるが、組織内で「仕事ができる」とは評価されるとは限らない。また、「いい研究をしている」人は研究者としては認められるが、組織内で出世できるとは限らない。同様に、偏差値の高い大学の出身である人、強力なコネのある人、代々お金持ちの人……が、かならずしも「仕事ができる」とは限らない。そんなことは、誰でも知っていることであろう。
本書は、「仕事ができる人」は何をやっているかをわかりやすく具体例を示している。
いくつか、僕なりに要約して紹介する。
- 簡単なこと(元気にあいさつする、丁寧にメールを打つ等)を根気強く何十年も継続する。
⇒これは、即断即決の実行力へつながってゆく。
- コミュニケーション力(上下関係を意識、受け手となる、要求をつくり出す)を磨く。
⇒相手が話したい事を聞く話の分かりやすい人になってゆく。
-
周りが自分を怖がらない、自分が人に期待し、自分が他人に助けを求めるのが上手。
⇒リスクを背負い、勇気を持って決断する。
幸いにも僕は、「仕事ができる」学長や病院長と仕事をしたことがある。共通していることは、いくつもある。例えば、
- 朝(または夜)の時間を有効活用(運動、趣味、懇親会等)し、リフレッシュ上手。
- メールの返事が秒殺 ≒ せっかち(笑)≒ 仕事のスピードが異様に早い ≒ 即断即決
- 人たらし(笑)≒ 魅力がある ≒ この人のために働こうと思わせる ≒ コミュニケーション力がハンパじゃない ≒ 結構忍耐強く人の話を聞く(もちろん、最後は自分の意見を通すが)≒ 交渉上手
- サプライズが好き ≒ 衆目を集めることを戦略的にする ≒ 世論を誘導し ≒ 予想外の冒険をする ≒ 大所から必要性を感じ、組織を破壊し再生させようとする
この本は、就職活動をする学生、新人と言われる人、管理職……、つまりキャリアアップしたい人には必読本だ。また、仕事がうまく回ってない人にこそ読んで欲しいとも思う。
そんなに突拍子もないことを書いているわけでなく、「仕事」についてぼんやり理解していることを明確にしてくれる。2~3時間もあれば目を通せる本だが、改めて今後の自分の仕事の仕方を考えさせられる本である。
ちなみに、僕が見えなところで必ずしていることは、会議中にこっそりチョコレートを舐めて水筒のコーヒーをすすることです。ホ~ホホホ! 次回をお楽しみに。
▼所蔵情報
これまでの書評はこちらから読むことができます。
【黒にゃんこ司書のつぶやき】
こんにゃちは。黒にゃんこ司書です。この書評を読んで、館長のメールの返信が異様に早い理由がわかりました。棚上げ癖のある私は見習わなければ・・・と反省。本書は仕事に限らず、学業でも参考になるかもしれませんよ。4月のモチベーションが高い時期に読むと効力抜群! それじゃまたにゃ~♪