ぶらりらいぶらり:長崎大学図書館ブログ

長崎大学附属図書館からお届けするブログです。 ぶらり、ぶらりと図書館へどうぞ。

【連載第32回】フクロウ館長イチ推しの本

『先生、どうか皆の前でほめないで下さい : いい子症候群の若者たち』

金間大介著(東洋経済新報社, 2022.3)

「先生、どうか皆の前でほめないでください」

「成功した人も、しない人も平等にしてください」

「自分の提案が採用されるのが怖いです」

「浮いたらどうしようと、いつも考えます」……

学生のみなさん、あなたのことだ。

 

世間では、今の若者のことを「素直でいい子」、「まじめでいい子」と評する。

いい子には次のような行動原則がある。

 

  • 周りと仲良くでき、協調性がある
  • 一見、さわやかで若者らしさがある
  • 横並びが基本
  • 5人で順番を決めるときは3番か4番目を狙う
  • 言われたことはやるけど、それ以上のことはやらない
  • 人の意見は聞くけど、自分の意見は言わない
  • 質問しない
  • タテのつながりを怖がり、ヨコの空気を大事にする
  • 自己肯定感が低い
  • 競争が嫌い
  • 特にやりたいことはない

 

本書の著者である金間大介氏は、こうした現代の若者を「いい子症候群」と定義している。なるほど!そうそう!あるある!と、多くのオジサンやオバサンは頷く本である。特に、学生と接する人(主に教員)、「なんで最近の学生は……」と嘆き悩んでいる人には、必読の本だ。著者も大学の先生で、いつも学生と接しており、現場の鋭い分析とデータを交えた良書だ。

 

最後の章のタイトルは、「いい子症候群の若者たちへ」。沢山良いメッセージがあるが、ひとつ紹介しよう。

 

「人が人生の進路を決める際、考慮する要素は3つしかない。①コト ②ヒト ③場所。」

 

やりたいコト。こういうヒト達と一緒に働きたい。この場所で何かしたい。①②③は、人それぞれに重み付けがあり、優先順位がある…と書いてある。

 

僕が図書館長という進路を決めた時は、「図書館という場所③で、学生と一緒に学びたい②、そして何かしたい~①」という感じであったろうか…。オ~ホッホッホ、次回をお楽しみに。

 

初年次セミナー「資料収集ガイダンス」の一コマ

 

▼所蔵情報

opac.lb.nagasaki-u.ac.jp

 

▼過去の書評はこちらからチェック!

booklog.jp

 

【黒にゃんこ司書のつぶやき】

こんにゃちは。黒にゃんこ司書です。今回の書評を読んで、今年の新書大賞で2位になった『映画を早送りで観る人たち』というタイトルの本を思い出しました。その中で、「無駄は悪。コスパこそ正義」という言葉が出てくるのですが、タイムパフォーマンス(タイパと略されるんだとか)が一番大事、近道を知りたがる人が増えているそうです。現代人は忙しすぎる! コスパ・タイパを追い求めて、「いい子」でいるためにキリキリするのも疲れた・・・そんな時はちょっと一息、ブレイクタイムに図書館で読書を楽しんでください。それじゃまたにゃ~♪