ぶらりらいぶらり:長崎大学図書館ブログ

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本で楽しむ「虎に翼」

NHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」、見ている方はいらっしゃるでしょうか。
現代にも通ずる性差の問題などをあぶり出してくれるうえに、憲法家庭裁判所を身近に感じられる、素敵なドラマです。

ドラマの主人公・寅ちゃんは、日本初の女性弁護士の一人である三淵嘉子(みぶちよしこ)さんがモデルですが、そんな三淵さんの活躍を記した本が経済分館にあります。

「三淵嘉子・中田正子・久米愛 日本初の女性法律家たち」
佐賀千恵美著  
経済分館(新着図書) 327.14||Sa15 3191645

著者の佐賀千恵美さんも、検事などを経験した女性弁護士。
佐賀さんは、男尊女卑の時代に日本で初めて女性弁護士となった三人に興味を持ち、
「時間がたてば人々の記憶は薄れる。資料もなくなっていく。誰かが早く、記録しなければ。」(同書 p.004)という使命感から、資料を探し出し、関係者にインタビューなどして、三人の来し方を書き上げています。

この三人が誰なのかは「とらつば」を最初から見ていた人たちにはお分かりですよね?
読んでみると、寅ちゃんのモデルは三淵さん、久保田先輩は中田正子さんっぽいな、と思うのですが、あの泣き虫の中山先輩と久米愛さんとはかなりキャラが違っていて、ドラマはフィクションなんだということもはっきりします。

この三人、同僚や相談者からの人望も相当に厚く、それぞれがとても魅力的です。寅ちゃんこと三淵嘉子さんが実際に書いた日記文の引用も多く、その感情の豊かさにもじーんときます。

ドラマを見ていなくても、法律に疎くても、三人の生き方に引きこまれる本であることは間違いなし。研究書としても、「こういう書き方もあるんだ」という参考になりそうな一冊です。

Y58