経済学部分館では、毎週土曜日に「済生会こども鳴滝塾」が開かれています。
これは、済生会長崎病院様のソーシャルインクルージョンのための活動の一環として行われているもので、将来長崎の医療関係で働くことを志しながらも経済的な理由から学習の場やチャンスが限られているこどもたちを支援する事業です。
今年度4月に開塾し、現在は中学2~3年生の6人が、大学生ボランティアとともにそれぞれの目標に向かって学びを進めています。
このご縁で、このたび済生会長崎病院様から学生用図書をご寄贈いただきました。
『からだ整えおにぎりとみそ汁 : からだと心がゆっくり整う2品献立 / 藤井恵著(図書ID:3192282)』
『19歳までに手に入れる7つの武器 / 樺沢紫苑著(図書ID:3192283)』
『もう明日が待っている / 鈴木おさむ著(図書ID:3192284)』
『扇島歳時記〈1〉~〈4〉(図書ID:3192278~3192281)』
…の計7冊です。
このなかから、2作品をご紹介します。
『19歳までに手に入れる7つの武器 / 樺沢紫苑著(図書ID:3192283)』
精神科医として30年以上のキャリアを持ち、作家やYouTuberとしての情報発信もしている著者が
「生きづらさ」を抱える若い世代、特に10代の若者に送る本です。
著者曰く「人生はRPG(ロール・プレイング・ゲーム)だ!」
ゲームの世界の主人公は、序盤はとても弱く、ちょっとしたザコキャラ相手にもダメージをくらい、
とても太刀打ちできません。しかし、装備を整え、情報や仲間を集め、行動する(敵に挑戦しキャラクターを鍛える)ことで、ちょっとずつ成長し、いつしか世界を救うヒーローになっていきます。
これを例えとしてみるならば、「生きづらさ」に悩む人は、ちゃんとした装備(心のスキル)や仲間もなしに、いきなり危険なダンジョン(学校や社会という現実世界)に突っ込むようなものだというわけです。それはズタボロにやられるだけ、というのは目に見えています。
若い読者に向けて書かれたこの本は、人生というRPGにおいてうまく「整え、つながり、行動する」ための戦略を、ゲームの世界でおなじみの「剣、弓、指輪、魔法の杖…」などの7つの武器に例えて解説しています。
人生はRPGだ!と思ったら、いろんな困難にも恐れずに立ち向かえる勇気が湧いてくるかもしれませんね。
次はこちらの作品『扇島歳時記』です。
『扇島歳時記〈1〉~〈4〉(図書ID:3192278~3192281)』
タイトルにある「扇島」とは…?
扇の形の島といえば、そう、長崎の出島です。このお話は幕末期の出島を舞台としています。主人公の「たまを」は、丸山の「禿(かむろ)」で、齢が満たないために下働き(遊女の食事や身の回りのお世話)をしながら、いずれは遊女となる身の上の少女です。長崎の町民は出島に暮らす異国人との接触を禁じられていましたが、丸山遊郭の遊女は例外として出島への出入りを許されていました。当時の出島とそこに暮らす人々の様子が、「たまを」の目を通して丁寧に描かれています。
この作品の作者(高浜寛)の前作『ニュクスの角灯(ランタン)』は『扇島歳時記』より十数年あとの明治初期の長崎を舞台としています。どちらの作品も、史実に基づく部分とフィクションの部分が混ざり合い、当時の長崎を知ることのできる物語です。
『扇島歳時記』と『ニュクスの角灯』は、郷土資料コーナー(2階の通路の奥)に配架されています。ぜひ読んでみてくださいね。
Rig