ぶらりらいぶらり:長崎大学図書館ブログ

長崎大学附属図書館からお届けするブログです。 ぶらり、ぶらりと図書館へどうぞ。

初年次クラスでビブリオバトル

南森先生が担当されている初年次セミナーの学生17名が、
5/31(金)、経済学部分館1階のラーニング・コモンズで、ビブリオバトルを開催しました。
 

今回、初年次セミナーでビブリオバトルを行ったのは、
「『限られた時間内で情報を伝える難しさ』を知ってもらう」「本に触れてもらう」というねらいからだそうです。

ビブリオバトルについては皆さんご存知ですよね?

今回のビブリオバトルは、
長崎大学の図書館に所蔵されている本のうち、読んで面白いと思った本を1人5分の持ち時間で紹介
②紹介が終わったら、聞き手が発表者へ質問
③聞き手は、「話し方」「聞き手への意識」「本の紹介」「質問への対応」という視点で、発表がどうだったかを「採点表」に記入して提出
この①~③までを順々に行うという流れで進んでいきました。

紹介された本の大半が小説でしたが(下の写真は、発表された本の一部です)

なかには、微分積分についてのスゴさが分かる!という、数式への愛が伝わる発表もありました。

17名全員の発表が終わったところで、採点表に従い、上位3名の発表です。

まず、3位に選ばれたのは 

「風が強く吹いている」三浦しをん 経済分館(2階開架)  913.6||Mi67  3160652
を紹介した川上ひかりさんです。

オンボロアパートに住む学生たちが、アパート内でひそかに「箱根駅伝出場」を目論んでいた主人公の灰二(ハイジ)に促され、本気で箱根の山を目指す物語。
10人中7人が陸上素人だったというのに、終いには「みんなで襷をつないでいく」姿に、心動かされる作品です。

川上さんが特に好きな登場人物は、マンガに時間もお金も費やしている「王子」。
陸上を始めてからの彼の成長の著しさ、その過程にも感動するとのこと。
川上さんはこの本を読んでから、箱根駅伝をただ見るだけでなく、走者のバックグラウンドにも思いを馳せるようになったそうです。

「戸塚中継所」「芦ノ湖」などの箱根駅伝用語も飛び交っており、正月の風物詩でもある箱根の興奮を思い出してしまう小説ですよ。

次に、2位に選ばれたのは

「罪の声」塩田武士 経済分館(2階開架)  913.6||Sh77  3183458
を紹介した、森田遼さんです。

「罪の声」は、昭和の未解決事件「グリコ森永事件」をモデルにした小説。
発生日時や場所もさることながら、犯人グループの脅迫・挑戦状の内容・その後の事件報道が、ほとんど史実通りに再現されている作品です。
森田さん曰く「疾走感はないが、未解決事件を紐解いていき、事実がどんどん明らかになっていく感じがおもしろい」とのことでした。

この小説では、犯行に使われた「子どもの声」にも焦点が当てられます。
図らずも、事件の録音テープに声を使われてしまった子どもたちは今、どこでどういう人生を歩んでいるのか…。

「自分が知らないうちに、犯罪に加担しているとしたら?そのことを皆さんにも考えて欲しい」という森田さんのメッセージが強く残る発表でした。

そして、見事1位となったのは…

山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」山中伸弥・緑慎也
中央館2F: BS  491.11||Y34  1556802  を紹介した岩松優太朗さんです。

2012年にノーベル賞を受賞した山中先生が、iPS細胞ができるまでの自らの半生から、今後iPS細胞にできることまでを存分に語りつくしたインタビュー集。
山中先生の紆余曲折や細胞研究の実態まで、幅広く楽しめる内容です。

岩松さんは「健康で長生きしたいと思いませんか?」ということを聞き手に投げかけ、「今後も医療は進歩していくけれど、長生きするために、iPS細胞の新しい展開について注目していきたい」と、前向きな姿勢でこの本を紹介。
見事1位に輝いただけあって、そのプレゼン力はピカイチでした!

この3人以外の発表も堂々としたもので、一度読んでみたいな、とか、もう一度読み直そうかな、と思える本ばかりだった今回のビブリオバトル
知らなかったことを知る、自分の経験できない人生を味わえる、そんな読書の魅力に、聞き手の皆さんも気づいたのではないでしょうか。

南森先生も最後に提案していましたが、「大学時代に本をたくさん読もう」!

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