ぶらりらいぶらり:長崎大学図書館ブログ

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祝!懸賞論文入賞

「日本経済史」を専門とする南森先生の卒研ゼミは、毎週、経済分館のラーニング・コモンズで活気ある授業を繰り広げています。
そんな南森ゼミ生の中から「令和5年度 経済学部 学生懸賞論文」に入選、という嬉しいニュースを、南森先生と学生さんが図書館に伝えにきてくれました。

見事入選を果たしたのは、経済学部4年の藤吉加菜(ふじよし かな)さん。
長崎奉行・岡部長常(おかべ ながつね)にスポットを当てた『幕末開港後の長崎奉行の処遇と待遇 ―岡部長常を事例として―』での入選です。

この懸賞論文は、経済学部講演会と長崎大学経済学会の支援によって、学生の学術研究を奨励するために毎年行われているもの。
提出の締め切りが11月の半ばなので、4年生の場合は、懸賞論文を先に書き上げ、それを字数の多い卒論へと仕上げていくことが多いようです。

藤吉さんが岡部長常の研究を始めたきっかけは、「司馬遼太郎の作品にハマっていた」大学2年の時に読んだ『胡蝶の夢』。
胡蝶の夢』は、長崎大学医学部の元である日本初の西洋医学の伝習所を、オランダ人医師・ポンぺと共に創設した松本良順(まつもと りょうじゅん)が主人公の長編小説で、長崎奉行・岡部長常は、伝習所創設に奔走する松本良順たちを支援する人物として描かれています。

https://opac.lb.nagasaki-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA72483151

藤吉さん、最初は松本良順に魅かれていたようですが、岡部を研究した過去の論文を読んでみたところ、小説の中での人徳ある印象とは違う保守的な部分を垣間見て、そこに岡部の人間味を感じ、興味が湧いていったそうです。

論文は、彼の人となりではなく、長崎奉行での仕事ぶりに触れたものですが、他の奉行と比較しながら犯科帳を読み解いていく作業は「楽しかった」と話していました。

東京へ行った時には、岡部長常のお墓だけでなく、岡部の比較対象として選んだ、「遠山の金さん」こと遠山景元(とおやま かげもと)のお父さんである遠山景普(とおやま かげみち)のお墓にもお参りされたようです。

逆に「大変だったことは?」と尋ねると、書いた論文を懸賞論文用に圧縮する作業。
最初に出来上がった論文に相当なボリュームがあったようで、どこを削っていいのかに頭を悩ませたそうです。

真摯に論文に向き合った日々について、まぶしい笑顔で話してくれた藤吉さん、
卒業後も、新しい仕事や読書で、沢山のときめきに出会えますように。

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