ぶらりらいぶらり:長崎大学図書館ブログ

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『「民」を重んじた思想家 神田孝平』

経済学部分館の分館長、南森 茂太先生の著書が
読売新聞の書評欄「よみうり堂」の紙面で紹介されました。
『「民」を重んじた思想家 神田孝平 南森茂太著 
評:牧野邦昭(経済学者 慶応大学教授)』
(2022年10月9日読売新聞)

これを機として、経済学部分館では、
先生の著書と関連する資料の展示を行っています。


『「民」を重んじた思想家 神田孝平 
 異色の官僚が構想した、もう一つの明治日本』
(南森茂太著 九州大学出版会 図書ID:3189448)


「神田孝平(たかひら)」は幕末から明治中期にかけて、
洋学派知識人、官僚、また、思想家として活躍した人です。

民衆を「愚民」と位置づける思想が支配的だった幕末・明治初期にあって、
神田孝平は「民衆が政治や経済の担い手である」と考え「人民」と呼びました。


今回、あわせて展示している資料『経済小学』(慶応3年/1867年)は、
神田孝平がWilliam Ellis著『Outlines of Social Economy』(1846, 1850)の
オランダ語訳から重訳したもので、
西洋経済学を日本に初めて紹介した書と言われているものです。
神田孝平は「民衆」を指す語として、この本の中で初めて「人民」の語を用いたと
先生の著書から知りました。

時代に先駆けて「人民」が政治の主体となることを構想した、神田孝平。
彼の功績をたどる南森先生の著書と『経済小学』のミニ展示は10月末までです。
ご興味のある方はどうぞご覧ください。 

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