ぶらりらいぶらり:長崎大学図書館ブログ

長崎大学附属図書館からお届けするブログです。 ぶらり、ぶらりと図書館へどうぞ。

触れてみよう、数学の魅力

今日は皆さんに、先日経済分館に入ったDVDと本をご紹介します。
『笑わない数学』 DVD3枚組  経済分館(AV)
『笑わない数学』 図書:3191667 経済分館(新着図書)


DVDは1階DVDコーナー(注目図書の隣)にあります。

えっ、数学?…ムリ、わかんない…、と思ったそこのあなた。
ご安心ください。私も数学はさっぱりわかりません。(ドヤることでもないですが…)
でも、この『笑わない数学』は数学が「わかる」ためのDVD(本)じゃないんです。

『笑わない数学』はNHK総合で、シーズン1:2022年7~9月、
シーズン2:2023年10~12月と、計20回にわたって放送された番組です。
番組のナビゲーターは、私と同じく数学にはほとんど縁のなさそうな(失礼!)
お笑いトリオ「パンサー」の尾形貴弘さん。

リーマン予想」「フェルマーの最終定理」「ABC予想」「四色問題…など、
数学の世界には世界各国の数学者たちが何世紀もかけて考え続けている「未解決の超難問」
とされる命題があります。
番組では、パンサー尾形さんがそれらの命題をわかりやすいカンタンな例から説き起こし、
「お笑い」を封印して、時に頭を抱えながらも、奥深い数学の魅力をほんの少しだけ
味わわせてくれます。好奇心をくすぐる知的エンターテインメント番組なんです。

本放送を見た私が一番印象に残っているのは、「素数」の回です。
素数は「1と自分自身でしか割り切れない数」で、2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19,…、のように不規則に
出現します。この「素数はどんなタイミングで出現するのか、そこに何らかの法則性はあるのか
という問いこそ、ものすごくシンプルだけど、未だに答えの見つからない命題なのです。
リーマン予想」もこの延長線上にあります。

詳しいところはDVDや本でご覧いただくとして、この回の中で私がもっとも驚いたのは、
素数の出現の法則について、何世紀もかけて辿り着いたあるひとつの関数の式が、
現代の最先端の量子物理学の研究のある分野で発見された「ウランなどの重い原子核
エネルギーレベルの間隔を表す式」と全く同じものだったということです。
人間が考えついた「素数」という概念の思考の行きつく先が、「原子核のエネルギー」という
もともと自然界に備わっていたものと一致する…なんて、なんだかとても不思議な感じがしませんか?
数式の意味するところは分からないけど、数学を「芸術家が遺したアート作品を楽しむように
楽しんでほしい、『笑わない数学』はそんな番組です。

DVDは残念ながら「禁帯出(館内利用限定)」ですので、館内の学生用パソコンで再生して
ご覧ください。視聴の際にはヘッドホンも貸し出しします。1回30分ずつの番組なので、
ちょっとした時間にお好きな回から見ることができます。

また、本は、放送内容を書き起こした部分の他、放送には盛り込めなかった内容もコラムとして
載っています。
<収録テーマ>
DVDにはシーズン1の12回分、本にはそのうち6テーマが収録されています。
DVD1:素数、無限、四色問題、P対NP問題
DVD2:ポアンカレ予想虚数フェルマーの最終定理、カオス理論
DVD3:暗号理論、abc予想、確率論、ガロア理論
!DVD各巻に【特別映像:パンサー尾方の勉強部屋】も収録!
本  :素数、無限、四色問題フェルマーの最終定理、確率論、ガロア理論

本を読んでからDVDを見るか、予備知識なしで尾形さんと一緒に数学の謎に踏み込むか。
皆さんも不思議な数学の世界を旅してみませんか。

Rig