ぶらりらいぶらり:長崎大学図書館ブログ

長崎大学附属図書館からお届けするブログです。 ぶらり、ぶらりと図書館へどうぞ。

シリーズ:永安学長に聞いてみた! (第13回:理系女子 中編)

長崎大学の新キャンパスNUTIC(テクノロジーイノベーションキャンパス)を
舞台に行なわれた、今回の学長×学生対談企画。
テーマは「理系女子と未来を語る」です!

 

前編の記事はこちら)

 

左から、Oさん(水産・環境科学総合研究科 博士後期3年)
Bさん(総合生産科学研究科 博士前期1年)永安学長
Iさん(工学部2年)図書館長(崎長ライト)

 

 

【リケジョって、知ってます!?】

 

崎長 今回は「リケジョ」をテーマにお話ししたいと思います。
   ここにいらっしゃる皆さんは、おわかりですよね。
   「理系女子」・・・略して「リケジョ」です。

崎長 今、長崎大学の教員数の内、女性教員数はどれくらいだと思います?
   手元には2022年のデータを用意しているんですけれど・・・。

学生 ええ~。

 

 

Iさん 私はあんまり女性の先生から習ったことが無くて・・・

学長 機械工学は1名しかいないものね。

Iさん 3割ぐらいでしょうか・・・

Bさん 私も3~4割ぐらいかなと思いました。

Oさん 私もです。

崎長 実は、25%ぐらい。3割までいっていないんです。

学生 へえ~

学長 それでもね、国立大学ではトップなんです。女性の研究者数。

 

 

崎長 だから、長崎大学は他大学に比べれば多い方なんですけれど・・・
   まだまだですね。
   女性が多いのは、文系の学部ですね。
   工学系はなんと6%。

全員 あ~(苦笑)

崎長 こちらの「長崎大学の研究者」には女性研究者がたくさん載っていますね。

 

「長崎大学の研究者 Vol.1(2015)」

 

学長 (ページをめくりながら)この時には、女性研究者をメインに
    取り上げていたんだね。
    知った顔がたくさん・・・。

 

崎長 (同じく、ページをめくりながら) 工学部の安武先生とか・・・。

Bさん わたし、安武研究室所属です。

崎長 そうなんですね!

 


【女性研究者のロールモデル

 

崎長 どういう感じに映ります?女性の研究者は。

Bさん 他の方と変わりなく、でも女性の先生ならではの相談しやすい面はあります。
   お母さんのような感じで、優しくて・・・。

 

 

崎長 そうなんですね。Oさんはどうですか?

Oさん 今の指導教員は女性の遠藤先生です。環境科学部は女性が多いですね。

崎長 環境科学部は、データとしては女性の割合が18%ですね。
   工学部のIさんの周りには…。

Iさん 1名しかいないです…。
   2年生からその先生の授業科目があって、1年生の時はゼロでした。

学長 その1名は…。

Iさん 近藤先生です。
   女性の先生は、安心感というか親近感があります。
   ロールモデルを見ている気がして。

崎長 ああ~、いいですね。
   ロールモデルって、具体的にはどんな感じですか?

Iさん 男性が多い中で頑張っているというか・・・。
   ご自分の研究を主として生活・仕事をしているのがかっこいいと思っていて。
   将来、研究職に就きたいと考えているので、すごくいいお手本というか・・・。
   尊敬や憧れの気持ちを抱きます。

 

 

崎長 「かっこいい」と「憧れ」ね。なるほど~。
   Bさんはどうですか?

Bさん そうですね・・・。いろんな知識があって、仕事もこなされていて・・・。
   以前はシンプルに仕事とか研究の面で「凄いな」と
   思っていたんですけれど、最近は、教員としての面だけでなく、
   ご家庭での様子も少し見える機会がありまして。
   女性が働くとなったら「仕事に全振り」しなければならないのかな・・・
   と思ってしまうところを、少し和らげてくれるいい機会になりました。

崎長 なるほどね~。ご家庭とお仕事とで、バランスが取れているんですね。

Bさん そうですね。

崎長 Oさんはどうですか?先輩の女性研究者を見ていて。

Oさん 女性の先輩はたくさんいらっしゃるのですが、
   以前は、私の中で「女性より男性の方が数学が得意」というイメージがあって、
   女性が理系の研究をできるのかな・・・と思っていたのですが、
   実際は関係無かったですね。

 

 

崎長 女性は理系が苦手、という先入観があったけれど、実際はそうではなかったと。

Oさん そうですね。

崎長 うんうん、なるほどね。

   学長が医学部にいた頃、医学部に女性は何%ぐらいいらっしゃいました?

学長 僕らの頃は少なかったね。2割もいないね。
   あの頃は、研究者よりも臨床の人が多かったね。
   今は女性の割合が3割から4割近くになったよね。

崎長 その頃の女性医師のイメージはどうでしたか?
   男社会の中で戦っているイメージですか?

学長 そうだね。
   あの頃は女性が少なかったけれど…。
   今はだんだんと女性の医学部生が増えてきて、
   むしろマジョリティ(多数派)になってきた感じだね。
   きちっと主張もするし、アイデンティティを持った女性が増えたね…。

崎長 確かに。医療系の場合は、意外と女性が多いんですよね。

学生 へ~。

崎長 ある意味、国家資格をとるのは平等的なところがあるし、
   自立できるからかもしれません。
   例えば、病院では、看護師さん等は女性が多いでしょう。
   だから、文教キャンパスの方に来ると、工学部などの女性は
   少ないと感じましたね。

学長 そうそう。だからこそ、「女子枠」を作ったんです。

 

 

【理系学部入試で女子枠を!】

 

※学校推薦型選抜Ⅱ女子枠 紹介ページ(nuwie Webサイトより)

 

崎長 今年度より、工学部と情報データ科学部の推薦入試で「女子枠」ができました。
   こういう取り組みについては、どう思われます?

Iさん 個人的には、「女子枠」があると入りやすくなると思います。
   私が入学を希望した時は、女子の入学者は一つ上の先輩が2名、
   もう1つ上の先輩が1名だったんです。機械工学コース80名の中で。
   なので、自分の中では機械工学コースに進むのは
   結構チャレンジだったんですよね・・・。

Iさん 「女子枠」があることで、「一定数いる」という安心感から
   出願に結び付くことはありそうです。
   親御さんも心配が強い面があると思うので、「何人かは女子がいる」
   ってことがあれば、それで先に進めると思います。

学長 ちょうどさっき話題になった昔の医学部みたいな感じだよね。
   最初は少なくて心細いけれど、だんだん女性が多くなってきたら、
   本当にマジョリティになるから。30~40人でも強い勢力になるからね。

全員 (うなずく)

学長 「女子枠」も、あくまで「移行期」の取組みでね。
   将来的には、女子枠を作らなくても女性が入ってくるようになる・・・。
   その間をつなぐ、ブリッジプロジェクトだよね。

崎長 入ってみて、どうです?男ばっかりで、困ったことはないですか?

Iさん 「女子あるある」だな・・・と思うのは、授業の時に、
       男子と女子で身長が全然違うので、前の方の席に座るとか(笑)

 

 

全員 ああ~!

学長 そうだよね、確かに。
   今の教室が長くなっているから・・・前の方と後ろの方で見え方が違うよね。

崎長 学問の方ではどうですか?あんまり関係ないですか?

Iさん 学問的にはそんなに関係ないですね。
   ただ、実習が前期にあったんですけれど、鍛造といって、
   日本刀をつくる時に大きいハンマーで叩くような・・・。
   ああいう加工の実習があって、結構重いものを
   振り下ろさなきゃいけなくって・・・。
   そういう時は、私の班では私だけ軽めのハンマーで作業をさせてもらいました。
   そういう面での苦労はあります。

崎長 あ~~なるほどね~、そういう筋力的な面では確かに困るよね。
   Bさんはどうでしたか? 

学長 そういえば、Bさんは、工学系の女子学生や研究者を紹介するサイト
   「nuwie」の公式グッズで、猫のイラストを描いたんだよね。

Bさん はい、そうです。

 

 

※「nuwieグッズ」紹介ページ (nuwie Webサイトより)

 

崎長 素晴らしい、才能!
   さて、4年間を振りかえってみて、学部生時代はどうでした?

Bさん 事例紹介として、自分の同期に1人、
   「本当は機械工学コースに行きたかったんだけど、
   女性が少なかったから、構造工学コースに来た」という学生がいました。

崎長 あら~。

Bさん 私自身の話としては、私の代は入ってみたら凄く女性の人数が多くって、
   男性との割合が3:1ぐらいで、そんなに少なくなかったんです。
   みんな、男性の方が多いことを覚悟して入学したと思うんですけれど、
   やっぱりなんだかんだ、女子が多いと少し安心する・・・
   というのはありました。
   女子が11人ぐらいいたんですけれど、そこまでいると
   女子の方が力が強くって(笑)

学長崎長 おお~。

Bさん コンクリートの実験の時に粗骨材(そこつざい)っていう
   重い石の材料を女子が運んでました(笑)

全員 笑

Bさん 少し女子が多いと、ちょっとずつ勝気になっていくんですよね。

崎長 数が多いとね。

Bさん やっぱり「機会の均等」っていうのは必要だから、「女子枠」となると
   男性からの不満が出るんじゃないかなって、最初はちょっと不安もありました。
   けれど、やっぱりどうしても「女子がいないからやめとこうかな」と思う人は
   一定数いると思うので、女子がいることが当たり前になって、
   先程おっしゃられたように、いつか「女子枠」が無くても
   女子が普通に入ってくるようになればいいのかな、と思います。

 


【なぜ理系を選んだのか?】

 

崎長 理系に行こうと思った動機は?
   高校の時だと思うんですけれど・・・。どういう経緯があったんですか?

Bさん 私は高校ではなく、小学生の頃に「ビフォーアフター」を見て、
   建築家になりたいと思いまして。

 

 

全員 ああ~。

崎長 家のリフォームをテーマにした人気テレビ番組の
  「大改造!!劇的ビフォーアフター」ですね。

学長 へ~。

Bさん そこから「理系」って決めて・・・。
   中学や高校でも一番数学が好きだったので、
   もう進むのは「理系」だろうと決めていました。

崎長 建築や理系科目が好きだったんですね。

Bさん そうですね。なので、今日も、スタジアムシティという建築が
   間近で見られて嬉しいです。

全員 笑

崎長 モノづくりの・・・特に建物ですね。
   男の子が興味を持つというのが一般的な考えかなというのもありますけれど、
   周りでは、そういう雰囲気はありませんでしたか?

Bさん いや~、ちょうど私たちの頃が転換期だったみたいで、
   女性の建築家が多くなり始めていたみたいで・・・。

崎長 知らなかった、そうなんですね!

Bさん 特には「男の仕事だから」などと言われることは
   無かったんですけれど・・・。
   ただ、施工管理などはどうしても体力勝負になったりするので、
   実際に施工管理を経験している就職している友人からは
   「結構きついよ」という話があって・・・。

学長 ああ~。

Bさん 就職した時に、万が一、ジョブローテーションで
   施工管理のお仕事がまわってきた時に
   やっていけるのかな、という不安はあります。

崎長 なるほど。
   Oさんは、どうして理系の方に進んだんですか?

Oさん 私は、今の研究は完全に理系ではなくて、理系と文系の半分半分です。
   大学3年生の時、長崎大学に1年間交換留学をしたことがあって、
   その期間に環境科学部の教養教育の授業を取りました。
   その時から、環境に関する勉強に興味が出始めました。

崎長 では、あまり「文系」「理系」のくくりはなかったんですね。
   「環境」に興味があったと。
   子供の頃には、環境について興味があったんですか?

Oさん いや、全然 (笑)

全員 笑

学長 Oさんは、この間、「長崎大学未来に羽ばたく女性研究者賞」の
   『優秀次世代女性研究者賞』を受賞したよね。
   奄美大島のツーリズムの解析をされて・・・。

 

 ↑ 持参していただいた「表彰状」を持って記念撮影

 

Oさん そうですね。数学は大好きです。得意ではないですが…

崎長 統計的モデル、数学モデルをやっているんですね。

Oさん そうです。

学長 ここ(NUTIC)でやったらいいかもしれないね。
   インフォメーションサイエンスをやっているわけだからさ。

崎長 まさに!ここ(NUTIC)にぴったりの研究者ですね。

学長 環境と情報をつなぐ・・・ね。
   時々ここにきて、情報の先生とやりとりしながらやったらいいよ。是非。

崎長 Iさんは、いつぐらいから理系に進もうと思ったんですか?

Iさん 小学校や中学校の頃は、漠然と「国語が嫌い」で・・・。

全員 笑

学長 そっちか~!

Iさん 理科とか数学のように、一つの答えを出す方が好きだったんですけれど。

崎長 なるほどね~

Iさん 最初は、小学校の頃から医療従事者になりたくて・・・。
   ずっと放射線技師を目指していたんですよね。

学長 へ~、なるほど。

Iさん それで、高校3年生の夏に実際に病院に行って、
   放射線技師の方に1日ついて体験をした中で、
   医療機器やマンモグラフィーMRIとかの医療機器の開発に
   すごく興味がわいて、ぎりぎりの時期に工学部を選んだんです。

学長 まさに「医工連携」にあっているよね。
   2023年に開設したマイクロデバイス総合研究センターも含めて、
   あなた、もう「医工連携」にぴったりだ。

Iさん ふふふ。

崎長 学長も、工学部と一緒に、ピンセットみたいなものを作ったんですよ。

 

※「医学部・工学部 外科医も絶賛 長崎大学発明の医療用器具新展開に注目」
 (長崎大学広報誌Choho 86号 Web版)

 

 

崎長 正式には「サメ肌鑷子(せっし)」っていうんですけどね、
   手術の時に使うんですね。

学長 紹介してくれてありがとう。「医工連携」の仕事の一環ですね。
   「医工連携」自体が「ニーズがあって何かを作る」というもので、
   「病院の医師と工学部の人たちが一緒に何かをやる」という
   非常にいい取り組みなので、是非、将来、関わって欲しいね。

 

 

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理系に進んだきっかけや実際の大学での様子など、
興味深いお話が次々に出てくる今回の対談。
次回、話題は「お薦め本の紹介」に移ります! 

 

(後編の記事はこちら)