ぶらりらいぶらり:長崎大学図書館ブログ

長崎大学附属図書館からお届けするブログです。 ぶらり、ぶらりと図書館へどうぞ。

【連載第44回】フクロウ館長イチ推しの本

『87歳、現役トレーダーシゲルさんの教え : 資産18憶円を築いた「投資術」』
藤本茂著(ダイヤモンド社, 2023.11)

今年、新NISAが始まった。
ある学生が「FX」を勉強していると言った。

 

「FXって株? 危ないんじゃ」と僕が言うと、

「株じゃないですよ」と笑われて、

「じゃあ、NISAか?」と言うと、目を丸くされて、

「(このおっさん何にもわかってない…)先生、勉強してください」と諭された。

FXだかなんだか知らないが、時代は新NISAだ。

要するに、国が言っているのだ。「投資をしないさい」と。「(おまえらの年金はないから)投資をしなさい」とは国は言ってはいないのだが、僕はそう勘ぐる。そこで、とりあえず本屋さんへ行って新NISAの本をパラパラとめくったのだが、正直なかなか難しそうだ。ふと下を見ると、平積みでこの本があった。

1ページ目から面白い。

「1936年(昭和11年)、二・二六事件が起きた年、兵庫県の貧しい農家の家に、4人兄弟の末っ子として生まれた。」

 

著者・藤本茂さんのことである。いろいろあって、現在87歳の現役デイ・トレーダーである。デイ・トレードとは、毎日株等の取引をして、それで生計を立てている人であるわけだから、膨大な経済情報を得て、瞬間の値動きに反応して売り判断・買い判断をする。87歳ですよ! 僕は在宅医療の医師でもあるわけで、たまに株をしている患者さんがいるが、さすがにデイ・トレーダーはいない。

 

シゲルさんの人生の前半部分は、めちゃめちゃ破天荒で面白エピソードが満載だ。貧しい家に生まれ、高卒でペットショップに勤め……。バブル期には10億円の資産を作り、それが弾けて…。株をやっている人ならさらに面白い。具体的な銘柄や取引方法なども書いている(ちょっと、素人にはわからない部分もあるが、やさしく解説してある)

 

読み終えて思ったことは、シゲルさんは、一言で言うと、野球の神様、イチローみたいな人だ。18億もあるのに、質素なマンションに住んで、必ず朝2時に起きてコーヒーを飲みながら、マーケットをチェックする。日経新聞を読み、簡単な朝食をとり、散歩した後、マーケットに臨む。真剣勝負。ルーティンを崩さず、無駄な贅沢をしない。準備を完璧にして、戦いに臨み、反省のノートをつける。それを来る日も来る日も続ける。

 

勝負師、プロフェショナル。シゲルさんは言う。

 

「お金は副産物。無駄なお金は使わないこと。そして、自分にウソをつかず生きていること」

 

う~ん、深い。そうは言うものの、18億をさらに増やしてどうするんだろうか…。もしよかったら、図書館の雨漏りを修理するのに寄付してもらえれば…ホ~ホッホ!次回をお楽しみに。

 

▼所蔵情報

opac.lb.nagasaki-u.ac.jp

 

これまでの書評はこちらから読むことができます。

booklog.jp

 

【黒にゃんこ司書のつぶやき】
こんにゃちは、黒にゃんこ司書です。投資・・・一昔前までは「素人が手を出すとヤバい」ものだったのに、今では政府が率先して「みんな投資しよう!」と宣伝していて、かなりカジュアルなイメージになっていますよね。経済センスがない私はそんな流れをスルーしていますが、めちゃめちゃストイックなシゲルさんには興味津々です。気になった方はぜひチェックしてみてください。それじゃまたにゃ~♪