新型コロナウイルスの発生から3年以上が経ち、
新型コロナの感染症法上の分類は季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられました。
経済学部分館では、新型コロナが5類になった5月8日から、コロナ禍で出版された本を通して、この3年間を振り返ってみようという展示を始めました。
題して「コロナ5類へ。コロナ禍の3年間を振り返る」
感染が広がっていく中での社会の混乱、あらゆる場面で強いられた変化、非日常の中で私たちが抱えた様々な想い…、コロナ禍で起こったいくつもの変遷を体感できる展示です。
コロナ前の暮らしに近づいている今日この頃ですが、戻りつつある自由な日常を前に、長かったコロナ禍を振り返ってみませんか?
今回は、展示図書の中から2冊ご紹介します。
「死者ゼロの真相 : 長崎クルーズ船新型コロナ災害との激闘」編集:崎長ライト
2020年4月緊急事態宣言下、
長崎の港に修繕のため停泊していたクルーズ船コスタ・アトランチカ号で
新型コロナウイルスの集団感染が発生。
横浜のクルーズ船の問題に比べ、日本の端っこの町の「コスタ災害」は
メディアに大きく取り上げられることはありませんでした。
しかし、不安と恐怖の蔓延する市民の見えないところで
この未曾有の事態に立ち向かった人たちがいます。
我が長崎大学関係者及びその医療チームを中心にした長崎ゆかりの人たちです。
古くから海外に開かれていた長崎は
多くの文明と一緒に、感染症という病も受け入れざるを得なかった歴史から
日本の西洋医学発祥の地となりました。
感染症に対して強い長崎大学の底力があったからこそ
この船からの市中感染はなく、難局を乗り越えることができたのです。
“死者ゼロ”という成功例こそ、もっと世に広まってほしい。
こういう方たちの奮闘のおかげで
今の平穏な長崎があることに感謝の念が湧いてきますし、
長崎大学の学生であることに誇りが持てる本です。
しかも、編集の崎長ライト氏は…実はフクロウこと浜田図書館長です!
「答えは市役所3階に」 辻堂ゆめ 著
コロナ禍で「こんなはずじゃなかったのに」
という思いをした方は皆さんの中にもたくさんいるでしょう。
そんな悩みに寄り添う場所
市役所3階に開設された「2020 心の相談室」の物語です。
5人の登場人物が抱える「こんなはずじゃなかった」に優しく寄り添う相談員。
相談内容のからくりや展開もおもしろく、粋な作品だと思います。
今となっては昔ばなしにできそうなことかもしれませんが、
あの頃はこんな場所が欲しかった、と思う人も多いかもしれませんね。
Sh67