桜の満開を目前にして冴えない天気が続いていますね。
今日のようなこの時期特有の曇天は「花曇り」といって、春の季語にも数えられています。
俳句や連歌のなかで春夏秋冬の季節感をあらわすために用いられる季語。
季語からは日本の風土や日本人の自然のとらえ方、ものの考え方といった特徴も読み取ることができます。
今回は春の幕開けにちなんで、すてきな春の季語をいくつかご紹介したいと思います。
・風光る – Kaze hikaru
うららかな春の日光が照る中をそよ風が吹き渡るようすから。
・山笑う – Yama warau
新緑や咲き誇る花々によって山全体がもえるように明るいさまのたとえ。
・魚氷に上る – Uo kōri ni noboru
氷が解けて魚が水面に現われるようすから、春になって万物が活気づくさまを表す。
・龍天に上る – Ryū ten ni noboru
春分の頃に龍が天にのぼり、雲を起こして雨を降らせるという言い伝えから。
・猫の恋 – Neko no koi (か、かわいい・・・!)
春先は猫たちが恋に夢中になる季節なんだそう・・・
北村孝一監修(2012)故事俗信ことわざ大辞典(第2版). 小学館.
いかがでしょう?
あまたにある季語ですが、神秘的であったり不思議な響きであったりするものが多くあるように思います。
そうした言葉から、それぞれの季節がもつ独特の空気感や景色を読み手に感じさせることができるのですから、これぞ日本語の妙!ですね。
実は中央図書館にはこんな図書も所蔵されているんですよ。
・季語集 / 坪内稔典著
所在:中央館2F:岩波新書
図書ID:1832155
請求記号:911.307 || 岩新 || 1006
歳時記としてはもちろん、ライトなエッセイ本としても楽しませてくれる、一粒で二度おいしい季語の入門書。
伝統的で古風な季語と、時代のうつろいと共に生まれたナウでヤングな季語(その数300!)を独特の感性で紹介してくれます。
これを機に、あなたも味わい深い季語の世界に足を踏み入れてみませんか?
どんよりとした浮かない天気でも、「これも龍の仕業か・・・」なんて思えば、春めいた晴れやかな気持ちになれるかもしれません。(ちょっと中二病っぽいけど)
m.o