『世界の一流は「休日」に何をしているのか : 年収が上がる週末の過ごし方』越川慎司著(クロスメディア・パブリッシング, 2024)

9月の連休は、どう過ごされたでしょうか?
「休みなんかなかったよ、バイト三昧、いつもと同じ感じ、やれやれ」とぼやいているあなたも、「なんか、だらだらとスマホ触って、YouTube観て…」と苦笑しているあなたも、「いや~、旅行に行ったんですけど、どこも混雑していてマジ疲れました…」とぐったりしているあなたも、「レポート仕上げたぜ~!」と息巻いているあなたも、この本を読んだらきっと休日の過ごし方を考え直すと思います。 だって、あなたにとって休日って、とっても重要ですよね。貴重ですよね。さあ、本書のエッセンスを、シルバー・ウィークは読書三昧だった図書館長の崎長(さきなが)ライトがご紹介いたします。最後まで読んでいただければ幸いです。
世界の一流は、休日に何をしているのか?
本書の著者は、かつて米国マイクロソフトの役員でした。彼は世界の一流グローバル企業の上級役員と交流した経験をふまえ、その「一流」のビジネスパーソンの休日の過ごし方を分析し、ノウハウを伝えた今話題の本です。
「そんなん、我々は学生だから、参考にならんよ!」と言うあなたのご意見もごもっともですが、「年収が上がる週末の過ごし方(本書のサブタイトル)」は、学生のあなたでも正直気になりますよね。一流の考え方を知るのは悪くはないでしょう。
実は簡単なんです。端的に言えば、一流たちの休日のコンセプトは2つです。
A: 積極的にエネルギーをチャージする時間(休養)
B: 知的エネルギーを蓄える時間(教養)
週末にこれらを達成するために、以下の3つの行動をします。
(1)趣味や好きなことをする
(2)家族や友人と過ごす
(3)教養のために読書をする
イーロン・マスクは、週末に………。
米国の起業家イーロン・マスクは、土曜はアイデア出しに集中し、日曜は瞑想や読書に耽っているそうです(たぶん米大統領選挙に関わる前の話でしょうね)。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツは、仕事から完全に離れて読書をしたり、アイデアを出し、熟考する。アマゾンCEOだったジェフ・ベソスは、家族旅行を欠かさないそうです。アップル創業者のスティーブ・ジョブスが、週末等に座禅をしていたことは有名ですよね。
彼らは心と体のエネルギーを週末に貯めることによって、「自分ならできる」「きっとうまく行く」という前向きな「自己効力感」を高めているようです。日曜の夕方に『サザエさん』を観ながら「ああ~、明日から仕事か……だるい」と多くの日本人のようには考えず、一流の人は「さあ、やるぞ、きっと成功する!」と思うわけです。もしかすると、休日の過ごし方で現在の日米格差が生まれたんじゃないか…と思うくらい、休日に対する考え方が異なります。日本人は休むことに若干の罪悪感と後ろめたさを伴いながら、「休む」ことを模索します。一流の人はエネルギーを充電して、自己効力感を高めるために戦略的に休日を取ります。
一流は読書を重視している
ビル・ゲイツは毎週1冊ペースで本を読んでいる。イーロン・マスクは1日2冊、1日10時間本を読んでいた時期があった。Facebookなどを運営するメタCEOのマーク・ザッカーバーグは、2週間に最低1冊の本を読み、異なる文化や歴史、テクノロジーを学んでいる。投資の神様ウォーレン・バフェットは、1日5~6時間本を読む時間を作っている……と書かれています。彼らは週末の多くの時間を読書に充てるそうです。図書館長としては、うれしい情報ですね(笑)。僕は全く一流ではありませんが、若いころから常に3種類の本を同時並行で読んでいます。本書のようなビジネス書(自己啓発本など)を隙間時間に。哲学や歴史関連の本を一日の最後に、小説や物語を週末に。僕はただ本好きなだけですが、本書によると、読書は自己効力感を高めるだけでなく、「未来を見通すための望遠鏡の役割」を果たしているようです。
留学時代、What did you do last weekend? にうんざり
私が2004年頃、カナダのトロント大に留学中、月曜の朝(または昼休み)は必ずと言っていいほど、病棟で同僚やボスから「週末に何をしたのか?」と僕は聞かれていました。日本ではそんなこと聞かれたことがないので、
「いや~、特に何も」と僕が答えると、
「君には奥さんも子供がいるじゃないか。何もしないなど、あり得ない!」
ある意味、「こいつは非人道的な奴だ」と攻められている感じ(笑)。
「実は、週末に仕事の整理や論文を書いていたよ」と正直に言うと、
「That's terrible! I can't believe it!」
日本人はクレイジーだと、彼らは肩をすくめて去っていきました。これじゃマズイと思い、次からは「土曜は家族と100円ショップに買い物に行ったよ。でも、ほとんど中国製だった~」と皆の笑いを取ったり、「日曜はアルゴンキン自然公園でカヌーを漕いで、自然を満喫しました~。それから家に帰って、カナダの国立公園に関する本を読みました~」とボスの深い頷きを得たりしました。振り返ると、彼ら、彼女らは、ビジネス界と医療界、活躍の場は違っても、週末に対する考え方は一流であれば基本は同じだと思いました。休日にはA(休養)とB(教養)を求め、具体的には、土曜日をチャレンジデー(趣味や家族)、日曜をリフレッシュデー(運動や読書)としているようでした。
実は、日本人にも同じ考え方をした人がいます。「経営の神様」と言われた松下電気器具製作所(現パナソニック)の創業者・松下幸之助。彼は「1日休養、1日教養」を唱えて週休2日制を導入するきっかけを日本に作りました。
さて、今度の週末、どうしますか?
一流の人達の週末の過ごし方は、確かに参考になりましたね。さて、どうします?
「でも今度の週末は、土曜はバイト、日曜はサークルの集まり…、休めませんよ…」
との声が聞こえてきます。そうですよね、皆さん、忙しい。でも、僕はこう考えます。バイトで社会常識を磨き、あるいは新たな小さなチャレンジを試みる。サークルでいろんな話をしてリフレッシュしてみる。あなたは有意義な休みをとっているかもしれませんね。要は、週末の時間をどうとらえるか、考え方の問題でもあるかもしれませんね。そんな忙しいあなたのために、本書ではたった21分でリフレッシュする週末の方法を伝授しています。
7分の瞑想、7分のジャーナリング、7分の読書。ジャーナリングとは、思ったことを書き出す作業です。自分の現状、思考の整理、アイデアの抽出、ネガティブな感情のリセットに役に立つようです。なんとなく、できそうですよね、21分なら。
僕は来週の月曜日に、みなさんにきっと尋ねると思います。
「What did you do last weekend?」
ぜひ、みなさんは本書を読んだ後に、僕に聞かせてください。素晴らしい週末の出来事を。僕は微笑みを持って聞き、きっとこう返すでしょう。
「さすが、素晴らしい! あなたは一流ですね! ホ~ホッホッ~」

(本稿は2025年5月に医療従事者専用サイト「m3」に掲載された記事を再編集して掲載しております)
▼所蔵情報
世界の一流は「休日」に何をしているのか : 年収が上がる週末の過ごし方
これまでの書評はこちらから読むことができます。
【黒にゃんこ司書のつぶやき】
こんにゃちは、黒にゃんこ司書です。「1日休養、1日教養」ていい言葉ですね。平日の睡眠不足を週末のまとめ寝で取り返そうとしても、結局長時間寝たダルさが身体に残って、ダラダラとスマホ見てると頭まで痛くなってきて、あっという間に月曜日・・・悪循環ですよね。上手く休めるのもテクニックだなぁと思います。秋の空気を感じる今日この頃、著名な起業家に倣って、あなたも週末に「1日教養」の時間をとってみませんか? それじゃ、またにゃ~♪