ぶらりらいぶらり:長崎大学図書館ブログ

長崎大学附属図書館からお届けするブログです。 ぶらり、ぶらりと図書館へどうぞ。

【連載第53回】崎長ライトのフクロウ館長奮闘記② ~初出勤~

(この物語はフィクションです)

 

前回までのあらすじ】

大学病院の内科医である筆者は、突然学長室へ呼ばれ、図書館長を命じられて・・・。

 

図書館長の辞令をもらい、初めて図書館に行った日は、20XX年の4月1日、新型コロナの第4波の真っ只中。重症者は少なくなったものの、いつまで続くんだろうというウンザリとした雰囲気が漂い、図書館の脇の桜も半分散り、暖かいのか寒いのかわからない風が吹いていました。そんな曖昧な雰囲気を振り払うように、

 

「さあ、頑張るぞ!」

 

【お金をかけないで学生を図書館に呼び戻す】という学長からのミッションを受け、意気込んで玄関から改札ゲートを通り抜けると・・・

 

Beeee! Beeeeeeeeee!!

 

けたたましい音が鳴り響く。あたりの学生達が一斉に振り返る。なんだ、なんだ、俺は不審者じゃない、図書館長だ!、と叫ぼうとした時に、

 

「どうしましたか?」

 

とエプロンをつけた眼鏡の女性が飛んできました。エプロンには「〇〇株式会社」との文字。えっ、図書館の人じゃないんだ。

 

「職員証で入れるはずじゃ…」と僕。

「事前に申請しないと…」と女性。

「無理ですか…」と僕。そんな押し問答していると、今度はスーツを着た女性が奥から小走りにやってきました。

 

「この方、館長さんですよ。お通しください」

「えっ、そうなんですか。失礼しました」

 

とエプロンの人が深々とお辞儀。「いや、悪いのはこっちですから…」と頭をかきかき苦笑い。そんな小芝居もどきの末、僕はやっと館内に。そしてフロントから導かれるままに奥へ。

 

「こちらがバックヤードです」とスーツの女性がドアを開けました。そこには、静かな薄暗い森のような広い部屋が拡がっていました。無言で本のページをめくる人、黙々とパソコンのキーを叩く人、粛々と本を整理する人。

 

「!!!」

 

僕は心の中で感嘆符を3つ付けました。人はこんなに静かに黙々と仕事ができるんだ。僕は長年病院勤めなので、雑然とした中で仕事をしてきました。サイレンが鳴り、PHSが響き、叫び声が起こり、バタバタ走り回る靴音。常に誰かが何かを訴えています。それとは正反対。静寂の本の森の中で、規律正しくコツコツ働く人達は、僕には森の番人のように映りました。番人のひとりが僕に気づき立ち上がると、一斉に椅子を引く音が鳴り響きました。番人達が僕を見ています。ちょっと緊張します。

 

「え~、本日、図書館長を拝命しました」

「よろしくお願いします」

 

と森の番人達はそう言うと、すぐに作業を再開。誰が図書館長になろうと関係ない感じです。僕はその一生懸命さに感心しながら、その作業をしばらく眺めました。

 

なるほど。

どうやら、図書館の仕事はフロント(本の貸借等の受付業務)とバックヤード(諸々の図書館運営業務)に分かれているようです。

 

「そうですね。大まかには二つですね」

 

そう言う、スーツの女性は事務を取り仕切る部長さんで、僕を館長室へ導きながら言いました。

 

「フロント業務は民間業者に委託しています」

「えっ、何で? じゃあ図書館の職員の人は、受付で学生と接することはないわけ?」

 

部長さんは、うなずきます。

 

「それで、業者さんには年間いくら払っているの?」

「n千万円くらいです」

「えっ、マジですか、n千万!」

 

それはもったいない。僕は初めて座る館長室の椅子から立ち上がり言い放ちました。館長室のドアはバックヤードに広がっています。

 

「職員の皆さんは、フロントに立ち、学生と接するべきでじゃないですか。大学図書館は大学生のために存在しています。職員がまず学生の声を聞くことから始めましょう。ですから、業者との契約を見直します。業者が仕事しないとか、ダメだとか言っているのではありません。業者も素晴らしいサービスを提供して頂いているのでしょう。だけど、図書館職員が学生と接すべきなのです。我々自身が、学生に寄り添うサービスを自ら行うべきなのです。だから、契約を見直します!」

 

と、思わず言ってしまいました。

僕の熱を帯びた声と正反対に、バックヤードの冷気は深まってゆきました。どこからか、フクロウの鳴く声が聞こえました(ホッホホ~、ホッホホ~、お前、初日からやっちまったなあ~)。

(この物語はフィクションです。つづく)

 

【フクロウ館長おすすめ本】

未来の年表 : 業界大変化 : 瀬戸際の日本で起きること | 長崎大学附属図書館 OPAC

 

人口減少がもたらす現象は恐ろしい。運転手不足で、物が運べないのでコンビニはなくなるか…。そもそも工場で働く人がいなくなるので物がなくなる…。水道代が月1,400円もあがって、人手不足で銀行からお金が下せないから払うこともできない………。どうなるんだろう。ある意味、ホラー本である。ホッホホ~、次回をお楽しみに。

 

【黒にゃんこ司書のつぶやき】

こんにゃちは、黒にゃんこ司書です。フクロウ館長、ぶっちゃけてます。こういう風に見えてたのか~(苦笑。にしても、番人って何w)。組織運営にはその時のトップの意向が強く反映されるもので、下々の職員は振り回さ・・・柔軟な対応を求められるものです。次回は新キャラ登場!お楽しみに。それじゃ、またにゃ~♪