ぶらりらいぶらり:長崎大学図書館ブログ

長崎大学附属図書館からお届けするブログです。 ぶらり、ぶらりと図書館へどうぞ。

【連載第52回】崎長ライトのフクロウ館長奮闘記① ~新たなミッション~

※書評連載「フクロウ館長イチ推しの本」の番外編シリーズ開始!
これから5ヵ月にわたって隔週で掲載します。

 

(この物語はフィクションです)

 

僕は、大学の附属図書館長の仕事をしています。もうすぐ4年になります。内科医の僕がなぜ?と、思う方もいらっしゃるかもしれません。そもそも大学の図書館長というものは、専任業務でない場合がほとんどのようです。文学部とか法学部などの教授が兼務することが多く、昔は図書館長業務がそんなに忙しくなくて名誉職みたいなもんだからという理由もあったんだと思います。今の時代は単に経営的な理由が大きいと想像します。大学が、専任の図書館長の給与を支払う余裕はないでしょう(笑)。そんな事情も知らない僕は、3年前、学長室へ呼ばれました。

 

「君は小説を書いたりするから、本が好きだろう?」

 

と、当時の学長は何かを探るように聞いてきました。

 

「NO BOOK, NO LIFE. 本無しでは生きてゆけませんね(笑)。大好きですよ」

「そうか。じゃあ、図書館長やってみるか?」

 

えっ、なんだ、また仕事の話か。当時、大学全体の入試関係の仕事と大学病院の新人医師のリクルート等の仕事をしていたので、これ以上できるか?と、頭によぎりました。しかし、

 

「やります!」

 

と、即答しました。本に囲まれた、森のような図書館の情景が浮かんだのでした。本の森に住む、幸せを呼ぶフクロウが僕を呼んでいました。

 

「やらせてください!」

「わかった。任せるよ。でも、カネはないからね」

「頑張ります!」

 

と満面の笑み。大学というところは、基本役所と同じで宮仕え。「やらねばならない仕事」は次から次に来ますが、自らやりたい仕事というのは少なく、当時はコロナ禍だったので、本の森に逃げ込みたいという気持ちもあったのかもしれません。

 

「じゃあ、4月から」

「わかりました」

「再度言っておくが、カネはない」

「はい」

 

と僕のマスク下の張り切り過ぎた声に対し、アクリル板の向こうから学長の曇った声。

 

「学生のための大学図書館にしてくれ」

 

あれから3年、僕はなぜか館員や学生からフクロウ館長と呼ばれるようになりました。

「フクロウ館長、雨漏りがしてます!」と言われれば、はいはい、どこですか?と走ってゆく。「とりあえず、バケツ置いときましょうか」と、僕は天井を見上げます。「フクロウ館長、ハトのフンが大変です」と言われれば、どれどれ、と現場に行き、腕組みをして「業者に頼めば7万円かかります」との館員の声が聞こえないふりをします。

 

一番痛いのは、論文等を検索するサイトに毎年数億円を支払う(全世界的な問題)ことです。カネがない。学長の言葉が毎日のように僕の頭の中でリフレインされます。あれ?また館員が叫んでます。

 

「フクロウ館長、学生が図書館に来ません!」

 

確かに、グラフを見るとコロナ前の5分の1以下になっています。学長が言う「学生のための図書館」イコール「学生を図書館に呼び戻せ」ということのようです。なるほど、僕が任命された理由がだんだんとわかってきました。研修医や若手医師を集める仕事で一応の成果を出した僕が、今度の任務は、「お金をかけずに図書館に人を集める」ことのようです。

 

これから本コラムで、フクロウ館長の奮闘する姿をお伝えしようと思います。お昼休みに読んで頂き、クスッと微笑んで頂ければ幸いです。

(本コラムは、フィクションです。時事通信厚生福祉に2024年に連載された作品を、許可を得て一部編集して掲載しております)

 

【フクロウ館長のおすすめ本】

大切なことに気づく365日名言の旅 | 長崎大学附属図書館 OPAC

 

(2月2日の名言)

成功の秘訣は「どうにかなる」という考えでなく、「どうなるか」を研究し、「どうするか」の計画を立てて実行すること。ーーー 鹿島守之助(実業家)

 

本書は日めくりカレンダー方式で、毎日誰かの名言が読める。僕らには言葉が必要だ。言葉に支えられて生きている。ホッホホ~。第2回をお楽しみに!

 

【黒にゃんこ司書のつぶやき】

こんにゃちは、黒にゃんこ司書です。今回から書評はしばらくお休みし、番外編「崎長ライトのフクロウ館長奮闘記」を隔週で当ブログに掲載します。話はフクロウ館長の中の人・浜田久之附属図書館長(文筆家ネーム・崎長ライト)が、図書館長に任命されるところから始まります。職員を巻き込んで大学図書館に大きな変化をもたらしていく、その過程を辿る全10回の物語です。乞うご期待!それじゃ、またにゃ~♪