ぶらりらいぶらり:長崎大学図書館ブログ

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8月9日に思うこと

79年目の8月9日を迎えました。

経済学部の正門を入ったところにある「拱橋(こまねきばし)」は、長崎高等商業学校設立の2年前、明治36(1903)年からこの場所に架かっています。
昭和20(1945)年8月9日、長崎に原爆が落とされたあの日もこの橋は学生たちの歩みを支えていたのでしょうか。

経済学部同窓会「瓊林会」が発行した「七拾年史 : 長崎高等商業学校・長崎大学経済学部」で
その当時の学生たちの様子を知ることができます。

  図書ID:3189458 経済分館(学校史料)

だんだんと戦局が厳しくなるにつれて学生の修業年限が短縮されることになり、
昭和17年3月に卒業予定だった第35期生は3か月短縮されて16年12月に繰り上げ卒業となりました。
その翌年からは6ヶ月短縮で9月の卒業でした。そしてついに昭和18年10月には「学生・生徒の
徴兵猶予」が停止され、20歳に達した文科系学生たちは徴兵されることになったのです。
学校に残った学生たちも「学徒動員」のため、三菱造船所や大橋にあった三菱兵器工場での労働に
駆り出されました。昭和20年1月から終戦の8月まで、授業は一切取りやめとなり、
食料も十分にないまま、昼夜2交代の12時間勤務を強いられるなど過酷な状況だったそうです。

そして、あの日。大橋の兵器工場の動員中に被爆し、
(氏名が判明している分だけで)教員1名生徒26名が亡くなったと記録されています。

平和な時代に生まれた私たちは、その生活を当たり前のように思っています。
しかし、世界のあちこちで人々の日常を奪う戦争は今もなくなっていません。
今の日常が決して当たり前ではないことを忘れないようにしないといけないと思います。

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