医学分館1階の閲覧席を取り囲むように配置されている「グビロが丘文庫」。
こちらは、本学医学部卒業生の方々から後輩の皆さんへの寄贈図書が
収められている本棚です。
その名前の由来となっている「グビロが丘」は、
医学分館のお隣のポンペ会館の裏手にある小高い丘です。建物の裏に
登り口があり、きれいに手入れされている小道を3分ほど登っていくと、
すぐに開けた場所に出ます。
丘の上の広場に立つのは原爆被災者の慰霊碑。台座には、
自らも被曝しながら負傷者の救護活動にあたった永井隆博士の句が
刻まれています。
傷つける 友をさがして 火の中へ
とび入りしまま 帰らざりけり 永井隆
また、丘の中腹の分かれ道から熱帯医学研究所の方へ回っていくと
旧薬学専門部(薬学部の前身)の防空壕の跡地があり、ここにも慰霊碑があります。
原爆の当日も、ここで防空壕を掘る作業にあたっていた学生たちがいたそうです。
壕内にいた数名だけが生き残り、まさに生死を分けた場所となったのです。
グビロが丘は静かな鎮魂の丘でした。
ここで学び、志半ばにして世を去った人々の無念を思い、しばし手を合わせました。
「虞美人草(ぐびじんそう)の咲く路の丘」という名の、グビロが丘。
虞美人草(ひなげし)の咲く春に、また行ってみたいと思いました。
最後に、グビロが丘文庫からおすすめの1冊をご紹介します。
『深い河/遠藤周作著』。
遠藤周作が生涯のテーマとした「日本人にとってのキリスト教とは」を問いかける、
『沈黙』と並ぶ晩年の代表作です。
皆さんもぜひ読んでみてくださいね。
Rig