今年は源氏物語千年紀です。
11月1日が「古典の日」として宣言されたことは、ニュースなどでも紹介されましたので、ご存知ではないでしょうか。
約1ヶ月遅れですが、中央図書館では、源氏物語に関係する本をいくつか集めてみました。
最初は、通常の図書だけのつもりでしたが、紫式部日記の絵巻の復刻などがありましたので、一緒に展示することにしました。
「古典の日」とされた11月1日は、紫式部が仕えた中宮彰子の息子誕生50日目のお祝いの日です。
紫式部日記の中の、酔っ払った藤原公任が「若紫さんはおりませんか」と言ったという話は、古典の授業などで習った覚えがありますが、それがこのお祝いの日の夜のことでした。それに対して紫式部は「源氏のようにすばらしい人がいないのに、若紫がいましょうか」と流したと書かれています。
この日記から、寛弘五年(1008年)の11月1日にはすでに源氏物語が広く読まれていたことがわかり、2008年は源氏物語千年紀、11月1日は古典の日となりました。
今回展示している紫式部絵巻では、まさのその11月1日を描いたものを展示しています。
あわせて中山輔親氏蔵 源氏物語の影印本(写真から復刻したもの)から、若紫と末摘花も展示してます。
若紫では、「雀の子を犬君が逃がしつる。伏籠のうちに籠めたりつるものを」と泣いているところを開いています。有名なシーンなので、くずし字がある程度読める方にお願いして、古典日本文学全集の源氏物語を片手に探し出しました。
「第三段なんです」
「けっこう前の方ね。ここに『尼君』ってあるわよ。ここは『幼い』?」
「ありました!『尼君、「いで、あな幼や』。近いです。もう少し前です」
といった会話を繰り返し、「いぬき」の文字を見つけ出しました。
3階閲覧室の入り口にて展示しています。図書は貸出できます。この機会に、古典に親しんでみてはいかがでしょうか。
M*
こちらのサイトを参考にさせていただきました。
渋谷栄一著(C) 源氏物語の世界